診療支援
治療

素行障害(素行症)
conduct disorder (CD)
松田文雄
(松田病院・理事長/院長(広島))

◆疾患概念

【定義・病型】

 素行障害(素行症)の基本的な特徴は,DSM-5によると,基準Aとして「他者の基本的人権または年齢相応の主要な社会的規範または規則を侵害することが反復し持続する行動様式」とある.そして15の基準のうち,どの基準群からでも少なくとも3つが過去12か月の間に存在し,基準の少なくとも1つは過去6か月の間に存在していることが条件である.そして,基準Bとして,「その行動の障害は,臨床的に意味のある社会的,学業的,または職業的機能の障害を引き起こしている」.基準Cとして「その人が18歳以上の場合,反社会性パーソナリティ障害の基準を満たさない」とある.一方ICD-10では,行為(素行)障害を「家庭内に限られる(家庭限局性)行為(素行)障害」と「非社会性(非社会化型)(グループ化されない)行為(素行)障害」,「社会性(社会化型)(グループ化された)行為(素行)障害」に分類している.ICD-10における除外診断としては,非社会性人格障害,統合失調症,躁病エピソード,うつ病エピソード,広汎性発達障害または多動性障害であり,情緒障害の診断基準を満たす場合は,「行為および情緒の混合性障害」と診断される.そして,DSM-5とICD-10の両方において,発症年齢により小児期発症型(10歳になるまでに素行症に特徴的な基準の少なくとも1つの症状が発症)と青年期発症型(10歳になるまでに素行症に特徴的な症状は全く認められない)に分類される.

【病態・病因】

 素行障害の診断基準は,主に行動面の条件を満たしているかどうかという観点から構成されている.診断基準は病因としての養育環境や生物学的背景に関する問題には言及していない.人格発達や心性などについての理解をもって行動上の問題を理解することが重要である.病理を考えるうえで3つの観点があり,心理学的背景,生物学的背景,社会経済的背景などである

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