摂食障害患者がなぜ摂食障害という絶望的な行いを始め,それを継続するかは,そうするしかない理由がある.治療が困難であるのは,別に故意に隠しているわけではないが,患者自らがその理由をなかなか語らないからである.治療終結が間近になって,誰にとっても公然となった時期に初めて,なぜなのか自ら語られるものである.反対にいえば,いかに早く語ってもらうかが重要である.それには,別に入院治療の必要はないはずである.しかし,肥満恐怖へのとらわればかりが強調され,どんどんと低体重が進むとき,それを医療によって取り除いてほしいという強い要望があるときに,医療者として接していると,内心,どれほどの治療効果があるのかといぶかしみながら入院治療を引き受けることになる.食べているのに太らないと,患者だけでなく両親も真顔で話すこともまれではなく,治療は難渋する.
摂食障害の病理の変化も悩ましい.もう,ただただ厳しい摂食制