診療支援
治療

コミュニケーション症
communication disorders
補永栄子
(兵庫県立光風病院)
田中 究
(兵庫県立光風病院・院長)

◆疾患概念

【定義】

 コミュニケーション症はDSM-5(2013)で神経発達症(障害)群の一群として再編され,以下の5つの疾患-言語症language disorder,語音症speech sound disorder,小児期発症流暢症(吃音)childhood-onset fluency disorder(stuttering),社会的(語用論的)コミュニケーション症social (pragmatic)communication disorder(SCD),および特定不能のコミュニケーション症unspecified communication disorder)-から構成される.言語,会話,コミュニケーションの障害により効果的なコミュニケーションや社会参加,学業成績,職業的遂行能力の1つ以上に機能的制限がもたらされていること,発達早期に症状が始まること,他の神経発達障害群や精神疾患,身体疾患で説明がつかない場合に,これらの診断がなされる.

【病態・病因】

 言語症は,語彙の少なさ,構文の乏しさ,話法の理解困難などによって,言語の習得および使用において困難を認める.言語機能は,発声や身振りのような表出性能力,言語による伝達の受容や理解といった受容性の能力の両方を評価する.語音症は,構音(語音の産出)と音韻過程(音のパターン)の領域での障害である.小児期発症流暢症(吃音)は,音声や音節の頻繁な反復や延長に代表されるような,会話の正常な流暢性と時間的構成の障害である.SCDはDSM-5で導入された障害で,言語的・非言語的コミュニケーションの社会的使用に持続する困難があるが,自閉スペクトラム症autism spectrum disorder(ASD)に認めるような限局された反復的な行動はみられないとされている.以下の4つの障害,すなわち「社会的状況に適切に社会的目的でコミュニケーション

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