◆疾患概念
【定義・病型】
からかいとは冗談や冷やかしといった,軽い気持ちから他者に対してかかわり,周囲の人たちとともにあざけり笑うような心ない仕打ちと定義できる.
いじめは,ある相互関係が成立する集団内で,さまざまな要因から優位に立つ一方が,意識的・集合的に,特定の1人に対して,からかい,ちょっかい,暴力,非難,無視などといったその人が嫌がる行為を与えることであると定義づけることができる.
つまり,からかいは,いじめという構造を形成する手段の1つであり,その構造は,ある集団内における望ましい人間関係のあり方の対極にありながらも集団内にとどまり続けるといえる.
【病態・病因】
からかい,いじめは一定集団(組織)内で,相互対人関係性上に生じるものであり,その構造図は図1図のように示される.
いじめは,①いじめられる側,②いじめる側,③微妙に関与する側,④そこに関与せずに集団内にとどまる側の4つから構成されると考えられる.
ある集団内でいじめられる対象が主に1人選ばれ,そこに「いじめる」ことでかかわる一定集団が登場する.その関係性に積極的ではなくても,微妙に関与する人たちが取り囲む(図1の①)図.当初は,その関係性に付与しない人たち(集団)は離れていたが,時にいじめの対象となる人(個)やいじめる人たち(集団),微妙に関与している人たちに関与し「いじめ・いじめられる関係性」に組み込まれる場合もある(図1の②)図.あるいは,「いじめ・いじめられる関係性」が相互に移行したり重なったり,反発したりする(図1の③)図.
この構造は,われわれがどこででも経験する集団主義的体質ともいえる.そのうえで,いじめる側にある優位性とは,暴力や知力,集団を構成しているという自負,経済力といった権力の保持であり,いじめられる側は,そういったものが略奪され無力化されていく.
病因としては,行為者がこうした行為