診療支援
治療

児童・青年期の統合失調症
schizophrenia in children and adolescents
松本英夫
(東海大学教授・精神科学)

◆疾患概念

【定義】

 国際的な診断基準であるDSM-5による統合失調症の診断基準は,①妄想,②幻覚,③まとまりのない発語,④ひどくまとまりのない,または緊張病性の行動,⑤陰性症状(すなわち感情の平板化,意欲欠如),の5項目のうち2つまたはそれ以上の存在と,1か月間の持続(治療が成功した場合はより短い),およびこれらのうちの少なくとも1つは①か②か③であること,が必要とされている.診断には年齢の下限は設けておらず,小児も成人も同一の診断基準を使用している.この診断基準の特徴は,緊張病症候群とよばれた状態がほとんどみられなくなっている現在では,幻覚あるいは妄想の存在が統合失調症の診断に不可欠の要素ともいえる基準になっていることである.この点をもって,DSMの診断基準が成人を対象としたときでさえ統合失調症の診断にとって厳格であるといわれているゆえんである.

 小児の統合失調症ではたとえ幻覚や妄想が認

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