◆疾患概念
【定義】
国際的な診断基準であるDSM-5による統合失調症の診断基準は,①妄想,②幻覚,③まとまりのない発語,④ひどくまとまりのない,または緊張病性の行動,⑤陰性症状(すなわち感情の平板化,意欲欠如),の5項目のうち2つまたはそれ以上の存在と,1か月間の持続(治療が成功した場合はより短い),およびこれらのうちの少なくとも1つは①か②か③であること,が必要とされている.診断には年齢の下限は設けておらず,小児も成人も同一の診断基準を使用している.この診断基準の特徴は,緊張病症候群とよばれた状態がほとんどみられなくなっている現在では,幻覚あるいは妄想の存在が統合失調症の診断に不可欠の要素ともいえる基準になっていることである.この点をもって,DSMの診断基準が成人を対象としたときでさえ統合失調症の診断にとって厳格であるといわれているゆえんである.
小児の統合失調症ではたとえ幻覚や妄想が認められても,成人に比べて対象や内容が不明確であることが多いため診断はより一層困難である.これは当然,子どもが精神発達途上にあるということと,それと関連して体験の乏しさや言語化能力の未熟な点が影響しているものと考えられる.
【病態・病因】
小児と成人の統合失調症には連続性があり,病態も病因もほぼ同一のものであるという考えが現時点では支配的である.一方,脳の形態学的な研究によって,早期発症の統合失調症では成人発症のそれに比べて脳の形態学的な異常の度合いが大きく,さらに発症後も成人早期までその形態学的な変化が進行する所見が得られている.両者に共通する病因仮説としては神経発達障害仮説が有名であり,胎生期も含めて,発達早期に生じた脳の異常が複合的に発症に関与していると考えられている.神経伝達物質ではドパミン,セロトニン,特にグルタミン酸などが大きく関与していると考えられている.
【経過・予後】
成人の統
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