診療支援
治療

抗潰瘍薬による精神症状
central nervous system reactions associated with antiulcer drugs
井上雅之
(三井記念病院・精神科(東京))
中嶋義文
(三井記念病院・精神科部長(東京))

 潰瘍の治療薬のなかで,精神症状をきたしやすい薬剤は,主として胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬,H2受容体拮抗薬の2種類である.防御因子増強薬として抗ドーパミン薬は抗精神病薬作用をもつ一方で錐体外路症状を生じることがある.

プロトンポンプ阻害薬

 胃壁の細胞のH分泌の最終段階といわれているプロトンポンプを特異的に阻害することによって,胃酸の分泌を抑制する.H2受容体拮抗薬より胃酸分泌抑制効果が強力なため,消化性潰瘍,逆流性食道炎などさまざまな種類の胃潰瘍の第一選択薬となっている.わが国では,オメプラゾール(オメプラール),ランソプラゾール(タケプロン),ラベプラゾール(パリエット),エソメプラゾール(ネキシウム)の4種が認可されている.出血を伴う胃潰瘍で内服のできない症例にはオメプラゾールとランソプラゾールに注射液剤が用意されている.4種のプロトンポンプのうち,オメプラゾ

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