◆疾患概念
【定義・病型】
脳以外の身体疾患に随伴して起こる精神障害を症状性精神病とよび,脳炎など脳に主要疾患をもつ精神障害は器質性精神病として区別する.しかし,症状性精神病の場合にも2次的に脳の侵襲を認めるため,症状性精神病と器質性精神病を厳密に分類することは難しい.脳炎などの原因となり,精神神経症状をきたす病原微生物を表1図に示す.
症状性精神病では基礎疾患のいかんにかかわらず共通の症状が出現することが知られており,Bonhoefferの外因反応型とよばれる.外因反応型として,急性期にはせん妄,興奮,もうろう状態,幻覚症,アメンチア(軽い意識変容があり思考がまとまらず,本人もそれを自覚して困惑している状態)などが現れ,意識障害の回復過程で健忘症候群と過敏情動性衰弱状態が出現する.Marnerosらは,中枢神経感染症を除く肺炎,敗血症,感染性心内膜炎などに,見当識障害,意識障害,精神運動不