◆疾患概念
【定義・病型】
睡眠時無呼吸症候群は,いびきを伴う肥満者に多く,その自覚症状は居眠り運転をするなどの日中の眠気や疲労感であることがよく知られている.最初に疾患名とその分類についてまとめる.睡眠に関連して発症または増悪する呼吸・循環障害のことを睡眠呼吸障害とよぶ.DSM-5では呼吸関連睡眠障害群とされている.睡眠呼吸障害は,睡眠時無呼吸症候群,睡眠時低換気症候群,それ以外,に分類される.それ以外の睡眠呼吸障害とは,いびきや睡眠中の「うなり」などであるが,これが病的なものかどうかには議論がある.睡眠時無呼吸症候群は,閉塞性,中枢性,混合性の3種類に分類されるが,通常,睡眠時無呼吸症候群といえば最も頻度の高い閉塞性睡眠時無呼吸症候群を指すことが多い.DSM-5では,呼吸関連睡眠障害群は,閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸,中枢性睡眠時無呼吸,睡眠関連低換気に分類される.
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(DSM-5では閉塞性睡眠時無呼吸低呼吸)
◆疾患概念
【病態・病因】
基本的な病態は,小額や扁桃肥大または肥満など何らかの原因により上気道が狭窄し,睡眠中に上気道が閉塞して無呼吸となる.無呼吸により睡眠中に覚醒が頻回に繰り返され,十分な睡眠がとれず,昼間に眠気が起こる.また,無呼吸により睡眠中の酸素飽和度(SpO2)が低下し,多血症,高血圧,心不全,不整脈,虚血性心疾患などのリスクとなる.
A.臨床症状
夜間の症状として,いびき,鼻鳴らし,あえぎ,呼吸停止,不眠,夜間頻尿などがある.日中の症状として,眠気,疲労感,非回復性の睡眠,起床時の口渇,起床時の頭重感・頭痛などがある.
B.検査
検査法には,終夜睡眠ポリグラフ検査polysomnography(PSG),簡易無呼吸検査法(簡易モニタ),パルスオキシメーターがある.簡易無呼吸検査法とパルスオキシメーターはスクリーニングに使用し,疑わしい場合に