診療支援
治療

睡眠覚醒相後退障害
delayed sleep-wake phase disorder (DSWPD)
佐藤萌子
(睡眠総合ケアクリニック代々木)
井上雄一
(東京医科大学教授・睡眠学講座)

◆疾患概念

【定義・病型】

 睡眠覚醒相後退障害(DSWPD)は,概日リズムの位相が後退することで生じる夜間の入眠困難と朝の起床困難を主症状とする疾患であり,概日リズム睡眠障害の1つに分類される.通常,睡眠と覚醒のスケジュールが社会生活上望ましい時刻より2時間以上遅延していることが診断上の目安となる.睡眠位相はいわゆる「遅寝遅起き」に固定化され,朝の望ましい時刻に起床できないために,学業や就業などの社会生活にしばしば支障をきたす.

【病態・病因】

 生体には,約24時間のリズム(概日リズム)をもつ体内時計が備わっており,睡眠覚醒サイクル,深部体温,メラトニン分泌など多くの生体現象は概日リズムに基づき制御されている.DSWPDではこの概日リズムが内因性に変調をきたす結果,睡眠と覚醒のスケジュールが望ましい時間帯から慢性的に遅延してしまう.

 概日リズムの遺伝子研究において,就寝時刻にまつわる遺伝的関与

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