診療支援
治療

欠神発作
absence seizure
小国弘量
(東京女子医科大学教授・小児科学)
藤井明子
(長崎県立こども医療福祉センター・小児科)

◆疾患概念

【定義・病型】

 欠神発作は突然に始まり,終了するごく短時間(5-20秒)の発作性意識喪失で全般性両側同期性3Hz棘徐波群発に伴うと定義されている.発作は自発性に生じ,過呼吸により誘発されやすい.また発作間欠期脳波では背景活動は正常であり,発作波もおおむね律動的で対称的であるとされる.国際抗てんかん連盟(ILAE)による国際発作型分類(1981)では,欠神発作は大きく全般性両側同期性3Hz(2-4Hz)棘徐波群発に伴う定型欠神発作とそれ以外の異質のてんかん性脳波異常(例えば不規則な棘徐波複合や速波活動など)に伴う非定型欠神発作に分類されている.後者は,定型欠神発作に比べ,意識減損が軽度であったり,開始や終了がより緩徐であったり,持続時間がより長いとされる.また両者とも発作時の運動性随伴症状の有無で,意識減損のみで運動症状を伴わない単純型と軽度の間代,脱力,強直成分や自動症を伴う複雑型に分類されている.詳細な発作時ビデオ脳波同時記録研究では単純型はまれであり,発作時にさまざまな軽微な随伴症状を伴う複雑型が多いとされている.

 ILAEのてんかん症候群分類(1989,2010)によると,欠神発作を主徴とするてんかん症候群には小児期(ピークは6-7歳)に発病する小児欠神てんかんと,青年期・成人期に発症する若年欠神てんかんが存在する.前者の場合は男児より女児に多く,頻発する欠神(日に数回からそれ以上)を特徴とする.脳波は正常の背景活動に,全般性両側同期性3Hz棘徐波を示す.一部の例では思春期になって,全般性強直間代発作(GTCS)を合併する.後者の若年欠神てんかんは,前者よりも発作頻度が少なく,日単位以下で,多くは散発的である.GTCSをしばしば合併し,先行して出現することが多い.けいれん性疾患の家族歴がしばしば認められるが,遺伝形式や関連する遺伝子については未解明のままであ

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