◆疾患概念
【定義・病型】
複雑部分発作は,1981(昭和56)年の国際抗てんかん連盟の分類によると発作時に意識減損がある部分発作として分類される.意識の減損は,発作の始まりから起こる場合や意識のある単純部分発作(→)から意識が減損してくる場合がある.また,意識減損に自動症を伴うこともある.2010(平成22)年に国際抗てんかん連盟から提唱されたてんかん発作分類では,単純あるいは複雑部分発作の用語が廃棄され,部分発作は焦点性発作(意識障害あり,なし)に統一され,焦点性発作(意識障害あり)が複雑部分発作の概念に該当するとなっている.
意識減損は,自覚性および,もしくは反応性や認知が変化し,外来刺激に正常に反応する能力が失われると定義されている.反応性とは単純な命令や意図的な動作を遂行する能力のことを,認知とは問題の期間の出来事に対する患者の接触性とその回想のことを指している.単純部分発作あるいは複雑部分発作からさらに進展して二次性全般化発作に至り,強直間代発作(→)となることもある.
複雑部分発作は,表1図のように細分類される.
【病態・病因】
複雑部分発作は,60%は側頭葉を起源とし,30%は前頭葉を起源として生じてくる.側頭葉てんかんは,その起始部位によって,内側側頭葉てんかん,外側側頭葉てんかんに分類される.内側側頭葉てんかんは,前兆,動作停止や自動症を特徴とし,海馬硬化を認めることが多い.外側側頭葉てんかんは,聴覚や味覚に関する症状が特徴的で,意識は内側側頭葉てんかんに比べて保たれることが多い.前頭葉てんかんは,発作の持続時間が比較的短く,発作が頻発する傾向がある.複雑で激しい運動性自動症を伴いやすく,偽発作と誤認されることがある.また,二次性全般化発作に発展しやすい.そのほか,傍ローランド領域や頭頂葉や後頭葉から始まる複雑部分発作も知られている.
【疫学】
時点有病率は0
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