診療支援
治療

レンノックス-ガストー症候群
Lennox-Gastaut syndrome
中川栄二
(国立精神・神経医療研究センター病院・小児神経科外来部長)

◆疾患概念

【定義・病型】

 レンノックス-ガストー症候群Lennox-Gastaut syndrome(LGS)は,強直発作,脱力発作,非定型欠神発作を主とする複数の短い全般発作を示し,ミオクロニー発作,全般強直間代発作,部分発作を伴うこともある.脳波で3Hzより遅い広汎性緩徐棘徐波と睡眠時の全般性速波律動を示し,発作はきわめて難治であり,知的障害がほぼ必発となるてんかん性脳症である.国際分類〔1989(平成元年)〕では,潜因性または症候性全般てんかんに分類されている.LGSの臨床像を示す発症年齢は3-10歳で,3-5歳がピークである.さまざまな基礎疾患をもつ場合が多く,他のてんかん症候群(特にウェスト症候群)から変容する場合が多い.高頻度にけいれん性あるいは非けいれん性のてんかん重積や群発が起こり,精神運動発達の退行を認める.

【病態・病因】

 脳の異常(形成異常,新生児仮死による脳障害など)や,発症前に発達遅滞や他のてんかん(ウェスト症候群など)があり,LGSの原因が明らかか推定される場合を症候性LGS,発症前に発達遅滞もなく,原因も推定されない場合を潜因性LGSとよぶ.症候性が約70%,潜因性が約30%である.ウェスト症候群から変容した例(約20-40%)は,早期発症で,強直発作が優位で発作も多く,予後が特に不良である.

【症状・予後】

 発作は複数の短い全般発作を示し,強直発作(74-95%),脱力発作(14-36%),非定型欠神発作(75-100%)が主な発作であるが,ミオクロニー発作,全身性強直間代発作,部分発作を伴うこともある.睡眠時の強直発作はほぼ必発である.強直発作,脱力発作,ミオクロニー発作では転倒(drop attack)を伴うことがあるため転倒予防に保護帽などの対応が必要である.約50-75%でけいれん性あるいは非けいれん性のてんかん重積・群発を認め,しばしば

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