◆概論
てんかんは,薬物治療で70-80%の患者で発作コントロールが得られ,残る20-30%の患者では薬剤抵抗性とされる.日本てんかん学会のガイドラインでは,「2-3種類の適切な抗てんかん薬にて2年以上治療しても無発作期間が1年以下で,発作のために患者に不利益がある場合に外科治療の適応を検討するべき」とされている.0.5-1%というてんかんの有病率から考えると,相当数の患者にとって外科治療適応を検討する機会をもつことが適切となる.本稿では外科治療の適応とその成績について解説する.
◆外科治療の適応となりうるてんかんの分類
A.開頭外科治療 ( )内は手術術式
1)内側側頭葉てんかん(焦点切除術)
2)器質病変が検出された部分てんかん(焦点切除術)
3)器質病変を認めない部分てんかん(焦点切除術および場合によって軟膜下皮質多切術)
4)一側半球の広範な病変による部分てんかん(複数脳葉切除・離断または大脳半球離断術)
5)失立発作をもつ難治てんかん(迷走神経刺激療法または脳梁離断術)
焦点切除術は,てんかん発作を惹起する脳を切除する方法で,治癒が期待できる.その代表は側頭葉てんかんに対する側頭葉切除術や選択的海馬扁桃核切除術,てんかんを生じる脳腫瘍摘出も焦点切除術である.
軟膜下皮質多切開術は機能野の皮質てんかん焦点に対する手術手技として開発されたものである.実際には,脳表面を皮質の深さまで5mm間隔で多数の切開を加えるものである.単独で十分な発作抑制があるという報告もあるが,現在では皮質焦点切除に追加する補助的な手技として用いられることのほうが多い.
大脳半球離断術は片側巨脳症など一側大脳半球の広範な障害によるてんかんに対して,脳の容積を残したまま患側大脳半球の線維連絡をすべて切断する.術後反対側の運動麻痺は必発であるが,乳幼児では脳の可塑性による機能回復がありうる.
脳梁離断術は発作の二