診療支援
治療

てんかんの心理・社会的治療
psychosocial treatment of epilepsy
久保田英幹
(静岡てんかん・神経医療センター・統括診療部長)

◆定義

 てんかんは社会的に正しく理解されているとはいえない.一般市民だけでなく,福祉職や医療職でさえ,誤った知識や偏見をもっていることがある.患者自身や家族も発病まではそのような市民の一員であり,必ずしも正しい知識をもっているとは限らない,というよりもっていないと考えたほうがいい.患者自身あるいは家族の病気に対する誤った理解は,患者の意欲喪失や不安,抑うつ,社会的孤立(患者だけでなく,家族全体が孤立することもまれではない)といった心理社会的問題をもたらす.

 てんかんの治療は,発作の抑制が最大の目標である.しかし薬物療法や,外科療法で発作が止まったとしても,以上のような心理・社会的問題は必ずしも解決しない.

 てんかんの心理・社会的治療の定義は,てんかんと向き合い,てんかんを乗り越え,てんかんをもちながら主体的・積極的に日常生活や社会生活を送ることをサポートするための治療を指す.ゴールは,自信

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