◆疾患概念
【定義】
アルコール幻覚症は,慢性的なアルコール乱用者においてまれに発症する続発性の精神病性障害の1つであり,幻聴や幻視を主症状とする.DSM-5では「物質・医薬品誘発性精神病性障害」に分類される.アルコール幻覚症は,アルコールの急性中毒や離脱の経過中や直後(おおむね1か月以内)に発症する.振戦せん妄に幻覚は好発するが,アルコール幻覚症と診断するためには,せん妄が消退したあとか,せん妄を発症する前にも幻覚が存在していなければならない.経過中,一切せん妄を呈したことがなくても,アルコール幻覚症のみ発症することもありうる.
【病態・病因】
その病態や発症機序についてはいまだ十分解明されておらず,アルコールの長期摂取に伴う脳内のドパミン系やグルタミン酸系など複数の伝達系の変化や,アルコール長期乱用に伴うビタミンB1の欠乏などが複合的に関与しているものと推測されている.
アルコール離脱にお
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