診療支援
治療

大麻依存
cannabis dependence
松本俊彦
(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・薬物依存研究部部長)

◆疾患概念

【定義・病型】

 大麻依存とは,大麻を繰り返し摂取しているうちに,当初に比べて,期待する効果を得るのに必要な大麻の量が増えたり(耐性獲得),大麻に没頭するあまり仕事や趣味が犠牲になる,もしくは大麻のことを考えて過ごす時間が長くなったり(精神依存),あるいは減薬や断薬を試みても失敗したりして(コントロール喪失),学業や職業的活動,日常生活に支障をきたした状態を指す.

【病態・病因】

 大麻とは,インド産大麻という植物に含まれる活性成分Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)を含むものを総称した名称であり,大麻を経気道的に摂取した結果,このΔ9-THCが内因性カンナビノイド受容体に結合することで多幸感をもたらす.

 大麻は,Δ9-THCを摂取する方法によって通称名が異なり,含有されるΔ9-THCの濃度も異なる.大麻の葉を乾燥させたもの(通称:「ハッパ」「ガンジャ」「クサ」),大麻樹脂

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