診療支援
治療

インターネット使用障害
internet use disorder
中山秀紀
(久里浜医療センター・精神科)
樋口 進
(久里浜医療センター・院長)

◆疾患概念

【定義】

 この十数年でインターネットは急速に普及したが,最近はさまざまな悪影響も問題視されるようになり,嗜癖(依存)や使用障害もその1つである.インターネット使用障害を疾患としてとらえるかどうかは議論されているが,世界的には疾患としてとらえる方向に向かっているようである.DSM-5では,「今後の研究のための病態」の項目(正式な診断基準ではない)に,インターネットゲーム障害の診断基準が収載されている.これはオンラインゲームの使用問題に限定されているが,本項ではSNSや動画の依存などゲーム以外の問題についても触れており,項目名を「インターネット使用障害」としている.一般的にインターネット使用障害の特徴として,「過剰使用」「離脱(例:インターネットができない,取り上げられたときのイライラ感など)」「耐性(例:インターネット使用時間などが延長していく)」「悪影響」が挙げられる.

【病態】

 おおむね中-大学生の世代に多く認められ,2012-2013(平成24-25)年に行われた厚生労働省研究班によってわが国で行われた中高生の自記式調査では,男子の6.4%,女子の9.9%がインターネット依存の疑いに該当するとされている.問題利用しているコンテンツについてはオンラインゲームの報告が多いが,ほかにも動画観賞やインターネット電話,SNS(social networking service)など多様である.さまざまな悪影響をもたらすが,昼夜逆転などの生活の乱れやそれに伴う学校生活の破綻(遅刻,欠席,留年,退学など),家族不和,ひきこもり,運動不足,精神症状(うつ,不安,攻撃性,睡眠の質の低下など)の悪化などが特徴的である.注意欠如・多動性障害(ADHD),うつ病,不安性障害,睡眠障害,アスペルガー傾向などの発達障害や精神疾患・症状の合併が報告されている.構造化面接法による調査では,イン

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