内分泌疾患は精神症状を伴っていることが多い.歴史的には心身症の代表とされたseven holy diseasesにバセドウ病が含まれているように,心身症の病態をとるものが少なくない.本項では,甲状腺疾患を中心に解説し,ほかに内分泌疾患のなかでも注意を要する疾患を簡単に解説する.
甲状腺機能亢進症
◆疾患概念
【定義・病型】
血中に甲状腺ホルモンが増加することにより代謝亢進をきたした状態である.したがって,代謝亢進に伴う種々の身体症状,精神症状が現れる.原因として甲状腺自体の機能亢進によるものと,機能亢進はないが炎症などで甲状腺濾胞細胞が破壊されることで血液中の甲状腺ホルモン値が上昇する破壊性甲状腺中毒症,また甲状腺ホルモンの過剰摂取などがある.また,厳密には甲状腺機能亢進症と甲状腺中毒症は区別されるが,ここでは同一のものとして扱う.
【病態・病因】
甲状腺機能亢進症の原因として最も頻度が高いのが
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