◆初診面接の6つの課題
初診で必ずなすべきことは表1図の6項目である.初診の限られた時間内でこれらすべてを効率的に成就するには,一定の手順を身につける必要がある.しかし,教科書・手引書でその具体的手順の全体を示したものは皆無といってよい.
表1図の①困っていること・症状・支障のすべて,②解釈モデルと医療への希望・期待を聞き出す過程で,③が自ずと醸成され,同時に精神症状,診立てが浮かんでみえてくる.したがって,①,②は何より真っ先に行うことが推奨される.
◆SDMの効用
SDMの効用については近年,渡邊衡一郎氏によって薬物選択過程での重要性が唱えられている.さらに本項で勧めたいことは,SDMの適応領域を拡張して,臨床判断のすべてに患者の参与を求めることである.治療法選択のみならず,受診理由把握から解釈モデルの構成,目標設定,結果の評価に至るまでのすべての臨床判断に患者自身も可能な限り参与するこ