診療支援
治療

脳画像検査
neuroimaging
舘野 周
(日本医科大学准教授・精神医学)

◆定義

 画像検査は今日広く用いられており,生体内部の情報を得る貴重な手段となっている.精神科領域で用いられる画像検査は,精神症状と関連が強い脳の形態や機能を評価するものが中心であり,視覚的な診断だけでなく,統計手法を利用したソフトウェアと組み合わせることでより客観的な評価が行える.精神科診断をしていくにあたり,除外診断を含めてまず器質性疾患の可能性を評価する必要がある.そこに補助的な意味合いではあるが,画像検査の客観的な情報を十分に生かすことは重要である.

 脳画像検査を用いる目的は大きく分けて①器質性精神障害の補助診断,②身体疾患に伴う症状の除外診断,のためである.血液検査,髄液検査,尿検査,心電図検査,単純X線検査なども行われるが,生体内で脳形態変化,脳機能変化をとらえられる脳画像検査は,客観的で有用な情報をわれわれに提供してくれる.

 研究領域では,さまざまな脳画像検査による新たな知見が集積されつつあり,精神疾患の診断,治療効果などのバイオマーカーとして今後さらなる役割が期待されている.

◆適応

 現在われわれが臨床で使用できる脳画像検査は,コンピュータ断層撮像computed tomography(CT),磁気共鳴画像magnetic resonance imaging(MRI),単光子放射線コンピュータ断層撮像single photon emission computed tomography(SPECT),陽電子断層撮像positron emission tomography(PET),近赤外線スペクトロスコピーnear-infrared spectroscopy(NIRS,光トポグラフィ)である.

 CTとMRIは主に脳の形態を評価するが,SPECTでは脳血流,中枢性ベンゾジアゼピン受容体(BZR),線条体ドパミントランスポーター(DAT)の評価が,PETではブドウ糖代

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