◆定義
脳の器質的な障害によって生じる症状として,厚生労働省の策定した「高次脳機能障害」の定義では,記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会行動障害が挙げられ,DSM-5によれば,neurocognitive disorderの各症状,すなわち複雑性注意(注意障害),実行機能(遂行機能障害),学習と記憶(記憶の障害),言語(失語),知覚-運動(失認・失行),社会的認知(社会認知障害)が挙げられる.これらの障害について評価を行うために用いるのが,神経心理学検査とよばれる諸々の検査である.また,机上の検査が難しい社会行動障害のような複雑な機能については,日常生活場面などにおける行動評価尺度を用いることが多い.
◆適応
神経心理学検査では,高次の脳機能についての評価を行う.したがって,より低次の脳機能が障害されている場合には,課題を行うことが難しく,評価の妥当性も低くなる.例えば,意識障害がある場合