【定義】
抗酒薬は数十年前から使用されており,現在も多くのアルコール依存症者に処方されている.わが国においては液体製剤のシアナミド薬と粉末製剤のジスルフィラム薬が使用可能である.
抗酒薬自体には飲酒欲求を抑える作用はない.その作用機序は,抗酒薬がアルデヒド脱水素酵素acetaldehyde dehydrogenase 2(ALDH2)の働きを阻害し,もしアルコールを摂取すればアセトアルデヒドが蓄積され,頻脈や顔面紅潮,悪心や嘔吐や血圧低下といった不快な反応をもたらすというものである.この不快反応に対しての恐怖感や苦痛を避けようとする思考がアルコール使用を思いとどまらせ,断酒効果につながる.ただし,いずれの薬剤もその代謝物が薬効を発揮するため,肝障害などで薬物代謝が十分でなければ服用していても効果がない場合があり,処方に注意が必要である.
両者には薬効の持続時間に差がある.シアナミド薬は内服