◆定義
ADHDの治療薬の定義としては,「ADHDの主症状である不注意性,あるいは多動・衝動性に対して効果のある薬物」といえるだろう.現時点でわが国においてADHDに対する適応を取得している薬剤は,コンサータ薬(OROS-MPH:徐放錠-メチルフェニデート)とストラテラ薬(ATMX:アトモキセチン)の2剤のみとなっている.
海外におけるADHDに用いられる薬剤としてはほかにも,放出型の異なるメチルフェニデート(即時放出型や持続放出型など)や,デキストロアンフェタミンをはじめとするアンフェタミン関連薬剤,モダフィニルなどが存在している.
◆適応
即時型のメチルフェニデートとしては国内でもリタリン薬として存在し,以前はADHDに対してベタナミン(ペモリン薬)とともに用いられてきたが,2007(平成19)年にコンサータ薬が発売となってからは,リタリン薬はナルコレプシーのみが適応症となり,厳格に処方することが求められるようになった.ベタナミン薬に関しては,ナルコレプシーと軽症うつ病(10mg錠のみ)が適応となっており,リタリンよりはナルコレプシー以外でも用いられる可能性はあるが,やはりコンサータ発売以降はADHDに関して処方されることはきわめて例外的になったといっていいだろう.
またモディオダール(モダフィニル薬)も国内で発売されているが,リタリン同様ナルコレプシーのみの適応であることが厳格にされており,ADHDに用いることはできない.よって現時点での中枢刺激薬(以下に説明)でADHDに用いられている薬剤はコンサータ薬だけということになる.
コンサータ発売前から代替薬として用いられてきたエスタリック(グアンファシン)〔2005(平成17)年に発売中止〕,カタプレス(クロニジン),三環系抗うつ薬なども存在しているが,ストラテラ薬が2009(平成21)年より発売されて以降は,その使用頻度
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/メチルフェニデート塩酸塩《コンサータ》
- 治療薬マニュアル2024/アトモキセチン塩酸塩《ストラテラ》
- 治療薬マニュアル2024/メチルフェニデート塩酸塩《リタリン》
- 治療薬マニュアル2024/ペモリン《ベタナミン》
- 治療薬マニュアル2024/モダフィニル《モディオダール》
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/[5]第2世代三環系抗うつ薬(アモキサピン)
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/[6]第3世代抗うつ薬(SSRI,SNRI)
- 今日の治療指針2023年版/SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
- 今日の精神疾患治療指針 第2版/抗パーキンソン病薬
- 今日の治療指針2023年版/ミルリノン
- 今日の治療指針2023年版/薬剤誘発性うつ病
- 急性中毒診療レジデントマニュアル 第2版/9 テオフィリンとカフェイン