◆定義
対人関係療法(IPT)は,期間限定の精神療法であり,認知行動療法(→)と並んでevidence basedな精神療法の双璧をなしている.クラーマンらによって1960年代末から開発された.精神科的障害の原因は多元的であっても,通常何らかの対人関係的文脈のなかで発症すること,社会的役割と精神病理は双方向で影響し合うものであることから,現在進行中の対人関係問題に焦点を当て,対人関係と症状とを関連づけながら進めていく戦略性の高い治療法である.
IPTは何らかの治療仮説に基づいて作られた精神療法ではなく,臨床研究において効果検証が可能な形になるように,すでに行われている治療の有効な部分を体系化しようとして作られたものである.対人関係という焦点は精神科的障害についての実証的データに基づいて見いだされたものだが,実際の治療を体系化する際にはサリヴァンら対人関係学派の原則を多く採り入れた.
IPTは臨床研究のなかで開発され,長く臨床研究の分野で検証されてきたものであり,一般臨床家への普及は認知行動療法よりも大幅に出遅れたが,近年ではプライマリ・ケア医師向けのうつ病治療ガイドラインや米国精神医学会(APA)のうつ病の治療ガイドライン,英国のNICEガイドラインなどでも有効な治療法として位置づけられている.米国国立精神保健研究所(NIMH)による大規模共同臨床研究では,重度のうつ病に対して認知行動療法よりも効果的であったことが示されている.単独でも薬物療法との併用でも用いることができるが,何らかの形でIPTを受けた群は,治療終結後も心理社会機能が伸び続けることが確認されている.
IPTは,ウガンダなどの開発途上国をはじめとする他の文化圏への適用に成功してきた精神療法であり,わが国においても摂食障害に対するパイロット研究で国際水準と同等の治療成績が得られている.
◆適応
IPTは元来は大う
関連リンク
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