◆定義
描画の歴史は古く,有史以来の洞窟画にみるように,人は絵とともに歩んできた.中世,バロックの芸術を経て,絵画は,宗教や貴族の装飾から「祈り」「癒やし」を伴う「安らぎ」の芸術となり,その地の文化・風土を形成してきた.
ルネサンスの絵画は「人物画」を宗教的神々から,庶民の生活の安らぎとしてきた.さらにレオナルド・ダ・ヴィンチが描いたモナ・リザの背景以来,「風景画」の成立により,風景のもつ「安らぎ」「癒やし」も採り入れてきた.
ことに18世紀の印象派の絵画,モネ,ゴッホさらにムンクやピカソ,ミロ,シャガールなど多くの画家の作品は,今日では病跡学的視点からその自己治療や症状変遷などの「表現精神病理学」という領域を形成している.そして,第二次大戦以降の欧米を中心に,描画表現を媒介とした治療操作が,作業療法やデイケア活動とともに発展してきた.
◆技法選択
描画療法の技法としては,①自由画法,②課題