◆定義
音楽療法とは,「音楽の持つ生理的,心理的,社会的働きを用いて,心身の障害の回復,機能の維持改善,生活の質の向上,行動変容などに向けて,音楽を意図的,計画的に使用すること」(日本音楽療法学会)と定義されている.
音楽は感覚ニューロンを通じて感情中枢,運動中枢,自律神経系など脳の幅広い領域に刺激を与え,長期記憶,認知プロセスなどにも影響を与える.また音楽活動はコミュニケーションとしてもとらえられ,特に集団音楽活動では社会性が要求される.
音楽は古くから民間療法のなかで,心身の病気を治す目的で用いられてきた.ギリシャ神話や旧約聖書のなかにも音楽を用いて疾病を治したという逸話が残されている.
1940年代に入ると米国では精神科病院でも音楽が治療の手段として用いられ始め,大学でも音楽療法士を養成するコースが誕生した.
わが国では1995(平成7)年に全日本音楽療法連盟(全音連)が設立され,1