診療支援
治療

TEACCH
treatment and education of autistic and related communication handicapped children(TEACCH)
内山登紀夫
(大正大学教授・児童精神医学)

◆定義

 TEACCHはTeaching(教育方法の開発,啓発,デモンストレーション),Expanding(質の高い,エビデンスに基づいたサービスを提供するために,専門的な知見を高める),Appreciating(自閉症の長所を理解する),Collaborating and Cooperating(協力と協同),Holistic(自閉スペクトラム症の人全体,家族とコミュニティ全体の重要性を強調)の頭文字を並べた造語であり,ティーチプログラムとよばれる.1972年に心理学者のショプラーにより設立され本部はノースカロライナ大学にある.TEACCH部のサービスの対象は自閉スペクトラム症の児・者であり,診断・評価,親トレーニング,親支援グループ,個別カウンセリング,就労支援などの個人を対象にした臨床サービスに加えて教育機関や福祉機関などのコンサルテーション,支援者の養成・教育,医学的・心理学的研究などを精力的に行っている.

 地域住民のサービスについては,ノースカロライナ州内に7つのTEACCH地域センターがあり,各センターがキャッチメントエリアをもち,地域の住民や支援者を対象にTEACCH部専門家による個別支援や地域の学校などのコンサルテーションを行っている.米国各地,英国,北欧,日本などを中心に多くの地域で講演会やトレーニングセミナーを行っている.トレーニングセミナーとは,実際の自閉スペクトラム症の子どもや成人にモデルとして参加してもらい,支援者が通常5日間かけて評価や支援方法を学ぶ実践的なセミナーであり,支援者養成に大きな効果を上げている.

 TEACCHのミッションは,自閉スペクトラム症の人のライフスパンを通したコミュニティベースのモデル的な支援を提供することにある.TEACCHは自閉スペクトラム症の人や家族に直接のサービスも提供するが,それにとどまらず自閉スペクトラム症に関連し

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