◆概要
高照度光療法(光療法)は,ある特定の時間帯に高照度光を照射することで抗うつ効果や生体リズムの位相変位を惹起する身体療法の1つである.主として冬季うつ病(季節性感情障害)および概日リズム睡眠障害に用いられる.網膜から入射した光が,後頭葉の一次視覚野を介した「物を見る」視覚性作用のほかに,網膜-視交叉-視交叉上核(網膜視床下部路)を介した生物時計の調節,さらに視床下部腹内側核や外側視床下野を介した自律神経機能の修飾,縫線核を介した気分調節など多様な非視覚性作用を有することを利用した治療法である.
◆実施手順
光療法は,①日照不足もしくは光感受性低下を補うことによる抗うつ効果,および②特殊な時間帯での集中的な照射による生物時計の矯正効果の2つを目的として行われる.患者の網膜に数千-1万ルクスの高照度光を入射させる.ちなみに屋外では数万-十数万ルクスの自然光を浴びられるが,家庭用照明器具はせ