診療支援
治療

作業所
sheltered workshop
佐藤嘉孝
(岡山県精神科医療センター・リハビリ部)

◆定義

 「作業所」とは,1950年代から設置が始まった施設であるが,法律的に定められた基準はなく,よび名も,「共同作業所」「小規模作業所」「福祉作業所」「小規模授産施設」などさまざまである.そこには,障害をもった人々の地域での生活を支える基盤が乏しいなかで,「当事者の地域での生活を支える」という熱意をもった当事者,家族,支援者(専門職に限らない)らが,試行錯誤しながら作り上げてきた歴史がある.いわば,有志による草の根的な活動により発展し,障害をもつ人々にとって,「生活の場」「交流の場」「仕事の場」などとして着実にその機能をはたしてきたのである.

 しかし,多くの施設では,資金面,人材面で運営に苦労しているという実情がある.障害者自立支援法施行後は,地域活動支援センター,就労継続支援A型,就労継続支援B型へ移行しているところも多いが,市町村間で施設に対しての支援内容は格差があり,それぞれの施設がさまざまなアイデアを出しながら,運営を切り盛りしている.

 このように,「作業所」とは,法律や規則によって作られたものでなく,現場から生み出されたものであり,その後もさまざまな困難にぶつかりながらも,当事者の地域での暮らしを支えるために脈々とわが国の精神科分野に根づいている.

◆対象者

 対象者には,さまざまな人が挙がる.地域で生活しているが,自宅にひきこもりがちで,何とか外につながるきっかけを必要としている人.退院後に,病院以外の穏やかな場所で他者と交流する場を求めている人.就労を目指しているが,一般就労するにはまだ自信がなく,訓練を通して自信をつけたい人.挙げればきりがないが,大切なことは,本人,家族,支援者が一緒に見学や体験入所をして,本人が「行きたい」「まずは挑戦してみたい」という意思をもつことである.

◆内容

A.作業内容

 作業内容はそれぞれの施設により異なり,多岐にわたる.例を挙げると

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