診療支援
治療

障害者就業・生活支援センター
employment and livelihood support centers for persons with disabilities
佐藤さやか
(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・社会復帰研究部精神保健相談研究室室長)

◆定義

 障害者就業・生活支援センターは,雇用,保健,福祉,教育などの地域の関係機関との連携のもと,利用者の身近な地域において就業面および生活面における一体的な支援を行うことを目的とする支援機関である.同じ厚生労働省内でも障害保健福祉部が所掌する総合支援法下の就労移行支援事業,就労継続支援A型事業,同B型事業による支援機関と異なり,職業安定局と障害保健福祉部の連携事業である「障害者就業・生活支援センター事業」により平成14(2002)年より創設された.

◆適応

 障害をもつ人のための就労支援は,就職に向けた準備,求職活動,就労後の職場適応・職場生活支援,といった段階を経るのが一般的である.一連の支援活動のなかで就業・生活支援センターは「働きたいが,何から始めればいいのかわからないので相談したい」と思っている人に対する職業訓練や職場実習のあっせんといった就労準備のごく初期の支援や,就労後に職場でのさまざまな悩みに関する相談を受けるといった職場定着のための支援を行う機能を担っている.いずれの支援も生活面での支援と一体的に行われることが同センターの特徴である.こうした支援ニーズは多くの人に共通のものであり,障害をもちながら就労を希望する人はみな同センターの利用が適応であると考えられる.

◆課題と今後の展望

 平成25(2013)年の障害者雇用促進法の改正により精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える措置が追加され,平成30(2018)年より雇用が義務化されるにあたり,精神障害者への就労支援はますます重要となっている.

 その一方,課題も明らかになりつつある.同センターは身体障害,知的障害,精神障害のいずれの障害をもつ人も対象としており,精神障害をもつ人に特化した機関ではない.

 筆者らが平成24(2012)年5月1日現在,厚生労働省「障害者就業・生活支援センター事業」によって設置されている全国

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