診療支援
治療

ケースマネジメント
case management
植田俊幸
(鳥取医療センター精神科訪問チーム)

◆定義

 ケースマネジメントとは,多様なニーズをもった人々が,自分の能力を発揮し健康に過ごすことを目的として,フォーマル・インフォーマルの支援ネットワークを組織し調整し維持することを,計画的に実施する人やチームの活動である(参考文献より).日本の精神障害領域では1990年代後半から注目され始めた.

 法制度や強調点で名称が変わることがあり,日本の介護保険や障害福祉領域では「ケアマネジメント」と表記されることが多い.英国では「ケアプログラムアプローチ」とよばれることがある.

◆適応

 単一サービスでは支援が困難な複雑なニーズをもち,慢性の障害がある人がケースマネジメントの対象になる.疾病や障害が一過性の場合は治療やリハビリテーション,緊急ニーズが強い場合には救急サービスといった,専門的な単一サービスが優先される.

 ケースマネジメントは対人援助の基礎技術であり,さまざまな場面で応用されている.例えば,障害福祉サービスを利用するときに「計画相談支援」によって「サービス等利用計画」が作られるが,このときに活用される「ケアマネジメントの手法」がそうである.

◆分類

 スタッフの職種,担当者1人あたりの受け持ち人数,直接提供できるサービスの違いなどによって,関係機関への紹介が主な業務の仲介型,直接的な援助関係を強調する臨床型,利用者の人数を限定した集中型,利用者の技能向上と環境調整に注目したリハビリテーション型,利用者や環境の強みに注目するストレングス型,精神科治療を含めた包括的支援を提供するACT(包括型地域生活支援プログラム)型()などがある.

◆ケースマネジメントの手順

 多機関や多職種が協働し,医療を含めた多くのサービスを組み合わせ,目標と期間を明確にして効果的なサービスを提供するために,定式化された手順がある.

1)契約を結ぶ(インテーク,受理):利用者と支援者が出会って合意を形成する.コミ

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