◆定義
統合失調症など重度の精神疾患にみられる認知機能障害の改善を目的とした心理・社会的介入法を総称して認知リハビリテーションという.認知リハビリテーションでは認知機能障害の改善を通じて究極的には機能的転帰の向上を目指す.認知リハビリテーションは,薬物療法では認知機能障害に十分な改善が得られないことから,従来,頭部外傷患者の高次脳機能リハビリテーションに用いられてきた手法を応用して開発された.海外ではデイケアなどの精神科リハビリテーションで普及しているが国内では比較的新たな手法である.ほかに「認知機能リハビリテーション」「認知矯正療法」などの表現が使われている.
◆適応
認知リハビリテーションは統合失調症,統合失調感情障害,統合失調症様障害の認知機能障害を主たる対象としている.統合失調症の認知機能障害は前駆期から認められ,急性期に悪化するが安定期にも顕著な改善はみせない.統合失調症のおよそ8