◆定義と背景
職域メンタルヘルス活動に従事する専門家には,事業者がはたすべき安全配慮義務を専門的な立場からサポートする役割が求められている.安全配慮義務とは,業務と関連した疾病の発症・増悪を予防するための予見義務(労働者の状況から疾病の発生・増悪を予見すべき義務)と結果回避義務(予見の可能性があることを前提に結果を回避する義務)のことを指す.つまり,安全配慮義務の趣旨目的は本質的に予防的であり,職場のメンタルヘルス活動では,自然と治療よりも予防が優先されることになる.予防には,診断だけでなく,労働者を取り巻く社会的要因についてのきちんとしたアセスメントが重要となる.予防的介入の成否は,アセスメントの正確さにかかっているといえるだろう.介入を行う際には,労働者だけでなく,管理者や人事労務担当者,他の産業保健スタッフとの連携が不可欠である.
◆労働者の精神不調のアセスメント
まずは,労働者が抱え