◆定義とその意義
メンタルヘルスを生活空間という視点から考えることは重要である.生活空間のなかでさまざまなメンタルヘルスの問題は「事例」として表面化する.狭義の精神疾患でさえ病院で発症するのではなく,必ず生活の場で発症して事例となり,「疾病」として,診断,治療の対象となる.
家庭と学校は,特に青少年にとっては,生活のほとんどの時間を費やす場所である.その家庭と学校において,不登校,ひきこもりなどの事例が生じたり,統合失調症や不安障害などの狭義の精神疾患が発症したりする.
精神疾患の予防はメンタルヘルスの重要な柱である.第一次予防(疾病発生予防),第二次予防(早期発見と早期治療),第三次予防(リハビリテーションと社会復帰,再発予防)があるが,発症の予防と再発予防には,家庭と学校は保護的な環境を作りうる大切な場であり,早期介入により軽症化の可能性もある.逆にすべてを悪化させる環境も形成しうる.