診療支援
治療

精神科関連用語をめぐる最近の動向
recent problems of Japanese medical terminology in psychiatry
太田敏男
(埼玉医科大学教授・神経精神科・心療内科)

◆用語法の重要性の高まりとその背景

 精神科において,用語法terminologyが重要になってきている.そうさせた要因はいろいろあるが,精神医学用語の使用者が広がったことは特に大きい.

 かつて,精神医学用語は精神科医が独占していた.その時代には,用語が少々複雑でも曖昧でも,文脈や発言者(著者)の学問的背景などを考慮すれば,なんとか互いに理解し合えた.むしろ,原語の連想,つまり逆翻訳back translationが容易であることのほうが重要という面もあった.

 しかし,時代は変わり,精神医学用語は精神科医だけのものではなくなった.まず,自殺,犯罪,企業内不適応などの増加とともに,うつ病をはじめ,統合失調症,パニック障害,心的外傷後ストレス障害,アスペルガー障害など,さまざまな精神医学用語がジャーナリズムやインターネットに登場するようになった.その結果,患者・家族や一般人が容易に情報にアクセス

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