◆外国人の分類
外国人は一般に,渡航目的によって,「旅行群」「一時滞在群」「定住群」に分けられる.
A.旅行群
旅行群は,勉学,就職といった重要な活動には従事せず,滞在期間も通常は1か月以内といったごく短いものである.
B.一時滞在群
一時滞在群とは,帰国する予定があって,数年間外国に滞在し,勉学,就職といった重要な活動に従事する人たちを指す.さらに一時滞在群は,所属組織によって,本国型,滞在国型,自立型に分けられる.
1.本国型
本国型とは,本国の組織に所属したまま海外に渡航する人,いわゆる「海外駐在員」を指す.海外滞在中の生活基盤については,本国の組織が保証しており,海外での活動は,基本的には,本国組織の指示に基づいて行われる.この群における海外渡航は,本国組織における「昇進」の過程の1つであることが多く,渡航後も,あまり滞在国の文化に触れないまま生活していることもある(例:日本人社会だけで生活している海外駐在員など).
2.滞在国型
滞在国型とは,帰国を予定しているが,外国渡航後,滞在国の組織に所属して(雇用されて),活動する人たちを指す.生活基盤は滞在国の組織が保障しているが,代わりに所属組織における滞在国の文化に適合しないと,活動できない.
3.自立型
自立型とは,所属組織がなく,自営業者やフリーランスで活動している人たちを指す.活動が組織に縛られないだけでなく,複数の文化にまたがって行われるために,どのように活動するかについて,自由度が高い.生活は非常に創造的ともいえるし,不安定ともいえる.本国型,滞在国型のどちらにも属さず,独自の文化的な同一性をもっている人もいる.
C.定住群
定住群は,帰国を予定せずに外国に滞在する.定住群はさらに,政治的迫害,極度の経済的困窮のために,渡航を余儀なくされた難民群と,一般定住群に分かれる.また,定住群の子孫は,「外国人」から「少数民族」