診療支援
治療

初版 序


 小児科の実地医家は毎日多数の患児の診療をしなければならないが,これらの患児の病状は毎日変化し,ひとつ間違えばいとも簡単に死亡もしかねない.小児科の診療のむずかしさ,煩わしさはこの点にあります.

 私どもはかねて忙しい小児科の実地医家のための新しい治療法をまとめたものがあったならば,さぞかし便利であろうと思っていました.幸い医学書院からのお申し出もあり,好評の「今日の治療指針」の編集方針にならって,日常小児科の診療で取り扱われるあらゆる疾患を小児科医の立場でまとめることになりました.そこで私どもは,無い知恵をしぼって,とにかくおよそ小児科の実地医家の診療されるすべての疾患について,その疾患の病因,症状の概略と今日行なわれている最善の治療法が具体的にパッとわかるような本を作ろうと考え,日本全国の小児科の指導的立場にあられる諸先生に執筆をお願いしました.諸先生にはご多忙にもかかわらず快くご承諾くださって,できあがったのが本書であります.

 本書では各疾患の病因,症状を明細に記述することなく,現在の最新の知識を簡明に記載してあり,一見して疾患の概略を知ることができると思います.

 治療法は歴史的なものは一切省略し,各著者が,現在市販されている薬剤を用いて現在行なっている最善の治療法をまったく具体的に記述してあります.したがって本書にある治療法は最新小児科学の知識に基づいた最善のものと私どもは信じています.

 ある症状,あるいはある疾患について目次,あるいは索引で記載してある箇所をみていただければ,治療に関する限り百科辞典のように必ず,どこかに具体的な方法を見出していただけるものと思っています.その他,予防接種,診療手技,事故・外傷・中毒などの救急処置および小児薬用量などの項目も実施に十分役立てていただけるものと自負しています.

 全国の小児の診療にあたっておられる実地医家,大学病院,公私立

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