救急での鎮静は待機的に行う鎮静と比べて,児の状態が不安定であったり迅速性が必要であったりすることが多い.
よって鎮静薬による有害事象が起こることも多いため,鎮静を行う前にもう一度,鎮静を行うための処置や検査が今その子どもにとって本当に必要か,鎮静の方法として,おしゃぶりや固定具の使用,養育者が付き添うこと,動画を見せること,事前のプレパレーション,などで代用できないかを考える必要がある.
A.鎮静薬使用前の確認と準備
1.AMPLEの確認
アレルギー(A),薬剤歴(M),既往歴(P),最終経口摂取時刻(L),現病歴(E)を確認する.鎮静に対する各ガイドラインでは,経口摂取制限時間を透明水分は2時間,母乳は4時間,人工乳・牛乳・軽食は6時間,それ以外の固形物は8時間,としているものが多いが,それ以内であっても,以上であっても,特に状態の悪い児には注意が必要である.
2.ABCDEの評価
薬剤投与前の気道(A),呼吸(B),循環(C),意識状態(D),体表所見(E)を確認し,児の予備力を評価する.
3.モニタリングの装着
パルスオキシメーター,心電図モニター,血圧計,カプノメーターを装着する.
4.気道や呼吸に対する備え
聴診器,吸引器,サクションチューブ,酸素,フェイスマスク,肩枕用タオル,経口・経鼻エアウェイ,バッグバルブマスク,挿管物品(喉頭鏡,気管チューブ,固定用テープ)などを準備する.
5.循環やアナフィラキシーに対する備え
細胞外液(酢酸リンゲル液など),アドレナリン,アトロピン硫酸塩などを準備する.
6.緊急時の体制
鎮静中は常にモニタリング担当の看護師もしくは医師が児を監視し記録を行う.児が急変した際の処置を行う場所や人員を,鎮静を行う場所ごとにあらかじめ確認しておく.
B.鎮静薬の種類
Px処方例 下記の薬剤を症状に応じて適宜用いる.
➊トリクロリール薬シロップ 1回20~80
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