●病態
・6か月~3歳に多く,ほとんどが自然排出されるが,10~20%は内視鏡的摘出が必要になる.
・硬貨,ボタン電池,磁石,玩具などが多い.
・食道に長期間停滞すると食道穿孔から縦隔炎をきたすことがあるため除去する必要があり,特にボタン電池や鋭利な異物は緊急性が高い.
・食道異物の症状は経口摂取不良,嚥下障害,よだれ,頸部痛,胸痛,咳嗽,喘鳴などがある.腹痛,嘔吐などは腸閉塞の所見として重要である.
・異物の種類や個数,誤飲時間の確認などの詳細な問診が必要である.
●治療方針
A.検査
X線検査は頸部,胸部,腹部を2方向(正面,側面)で撮影する.
X線透過性で評価できない場合はCTが有用である.食道異物の場合,少量のガストログラフインで造影して確認できることがある(誤嚥に注意).MRIや超音波検査が有用なこともある.
B.管理方法
1.緊急摘出
①気道障害,食道閉塞,腸閉塞などの症状があるとき,②鋭利なもの,長さ>5cmのもの,高吸水性樹脂製品が食道もしくは胃にあるとき,③複数の磁石誤飲か1個でも金属と一緒に誤飲したとき,④ボタン電池が食道に停滞しているときに行う.
2.待機的に摘出
鋭利でない異物が食道に24時間以上停滞しているときに行う.
3.経過観察
胃や腸にある上記以外の異物の多くは自然排泄されるので,無症状の場合は便の確認でよい.便中にでなければ7日以内に再受診を指示する.
C.種類別
1.硬貨
a.食道 症状があるとき,誤飲時間が不明なとき,無症状でも24時間以上停滞しているときは内視鏡で摘出する.24時間以上経過していないときは12時間後にX線撮影を行う.約2/3は8時間以内に胃内に落下する.
内視鏡での摘出が優先されるが,誤飲後まもないときなど合併症の可能性が低い場合では,ネラトンカテーテルで胃内に落下させてもよい.また,慣れた術者が施行できる場合には,バルーンカテーテルで摘出しても