診療支援
治療

熱傷(軽度)
burn
竹井寛和
(兵庫県立こども病院救急科)

●病態

・熱傷の定義は,熱や急性の外的要因への曝露によって皮膚および各組織が損傷を受けることとされる.熱傷の原因としては温熱熱傷が最も頻度が高く,化学熱傷,放射線熱傷,電撃症が続く.

・小児では,乳幼児の加熱液体による温熱熱傷が多い.65度の加熱液体ではたった2秒で皮膚のⅡ度熱傷を引き起こす.

・熱傷深達度の推定については表2のように症状で分類でき,Ⅱ度熱傷以上の熱傷面積を算定する必要がある.熱傷面積の算定方法として,小児では5の法則が知られている(図1)が,臨床現場では手掌法が使用しやすく,患者本人の全指腹と手掌で約1%の熱傷面積とし実際の熱傷面積を算定できる.

・入院適応については,古典的にArtzの基準(表3)があるが,小児において基準が妥当かどうかは不明である.深達度や熱傷面積のほか,不適切な家庭環境,虐待またはネグレクトが疑われる場合,自宅から病院までのアクセスなども考慮する.

・虐待が疑われる熱傷については表4にまとめた.

●治療方針

A.初期評価と介入

 バイタルサインを含め,PALS(小児二次救命処置コース)に基づいた系統的評価を行い,必要に応じて介入する.

 気道熱傷が疑われれば挿管を含めた気道管理が必要となる.

 10%TBSA(total body surface area,体表面積)以上では,初期輸液を実施し受傷後2時間以内に開始することが推奨される.

 非軽症例では,処置時鎮静・鎮痛を考慮する.

B.熱傷初期治療

 熱傷初期治療について質のよい研究はなく,予防的抗菌薬は推奨されていない.

 水道水で洗浄する.氷水や氷は組織損傷の悪化を招くともいわれており,基本的には使用しない.その際,低体温の合併には注意が必要である.

 エキスパートオピニオンではあるが,創傷治療のスタンダードとして浸透しつつある開放性湿潤療法が最も効率的である.

C.開放性湿潤療法

 受傷時点では創面の痛

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