●病態
・小児の心停止に至る病態はさまざまであるが,最終的には低酸素血症とアシドーシス,もしくは致死性不整脈が原因となる.
・心停止により3~5分以上,脳血流が途絶えると,心拍が再開しても脳障害が生じる.
・心停止を認識し,早期に胸骨圧迫を開始し,質の高い胸骨圧迫の継続を行い,特に小児の場合は人工呼吸と合わせた心肺蘇生が望ましい.
●治療方針
A.医療従事者用一次救命処置(BLS)アルゴリズムのポイント
(図1図)
心肺蘇生(CPR)の手順は成人と共通である.しかし小児の場合は以下の点を注意する.
a)胸骨圧迫の強さが胸の厚さの約1/3
b)医療従事者が2人以上でCPRを行うときは圧迫換気比が15:2
c)AEDの小児用モードや小児用パッドの使用年齢は乳児を含む未就学児
d)マニュアル除細動器による電気ショックのエネルギー量は4J/kg
e)乳児の場合は胸骨圧迫の手技が異なる
f)分娩室,新生児室,新生児集中治療室,産科病棟などでは「新生児蘇生法」(→)が適応される
B.医療従事者用BLSアルゴリズムの手順(図1図)
1.反応を確認
目の前で突然倒れたり生命徴候がないと判断されたりした場合は,周囲の安全を確認したあと肩をたたきながら大声でよびかける.乳児の場合は足底刺激をして反応を確認する.反応がなければ大声で応援をよび,緊急通報・除細動器を依頼する.
2.呼吸の確認と胸骨圧迫の開始基準:心停止の判断
気道を確保し,呼吸の観察を行う.頭頸部の外傷の疑いが,ない場合は頭部後屈顎先挙上法で,ある場合は下顎挙上法で気道を確保する.胸部と腹部の動きを観察して呼吸がない,あるいは死線期呼吸,あるいはわからないときは心停止として胸骨圧迫を開始する.また熟練者は呼吸と同時に,小児では頸動脈,乳児では上腕動脈を触知し拍動を確認する.呼吸を観察している間に脈拍を確信できなかった場合は,呼吸の観察のみで胸骨圧迫
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