A.注射
1.注射の種類と適応
a.皮内注射 ツベルクリン反応,過敏性試験の注射部位の発赤や硬結の大きさを評価する検査である.
b.皮下注射 ほとんどの予防接種,鎮静剤,インスリン製剤,生物学的製剤に利用される手技である.
c.筋肉内注射 急速に薬物血中濃度を高める必要のある鎮静剤,蘇生薬,予防接種に利用される手技である.
2.注射の部位と方法
23~27Gの注射針を使用する.
a.皮内注射 部位は前腕内側・上腕内側.皮膚との穿刺角度0~15度で穿刺し,表皮内で薬液0.1mLを緩徐に注入し,膨隆疹を確認する.
b.皮下注射 部位は上腕内側・腹壁・大腿前面~外側.皮下組織が豊富で軟らかい部位.皮膚を皮下組織と同時につまみ,皮膚との穿刺角度30度を確保して,軽く陰圧をかけて逆血のないことを確認して注入する.
c.筋肉内注射 部位は1歳未満では大腿前外側部(大腿外側広筋),乳幼児~小児では三角筋または大腿前外側部.皮膚との穿刺角度90度を保ち,皮膚を引き延ばすようにテンションをかけて,軽く陰圧をかけて逆血のないことを確認して注入する.
3.注射時の注意事項
すべてに共通してアナフィラキシーや迷走神経反射による意識障害に注意する.注射時の体動には十分注意し,針刺し事故などに注意する.事前のプレパレーションは不可欠である.
皮下注射では,上腕伸側中1/3には橈骨動脈が走行しており接種を避ける.皮下注射や筋肉内注射では,筋損傷のリスクを考慮し穿刺部位周囲をマッサージしない.筋肉内注射は,血友病や血小板減少症などの出血傾向の患者では禁忌である.
B.静脈路確保
1.静脈路確保の適応
静脈投与が可能な薬物や静脈輸液経路として利用する.
2.静脈路確保の穿刺部位と方法
末梢静脈留置針22~24Gを利用する.背側中手静脈・尺側皮静脈が代表的部位.
穿刺部位は目標とする血管の部位より5~10mm遠位に設定する.近位で駆