診療支援
治療

カテーテル管理
management of intravascular catheters
齊藤 修
(東京都立小児総合医療センター集中治療科・医長)

A.静脈路確保法

 水分・電解質,薬剤などを投与するための静脈路確保には,通常末梢・中心静脈や骨髄のいずれかが用いられる.

1.末梢静脈(浅静脈)の解剖

 上肢の浅(皮)静脈は,手背静脈網外側から解剖学的嗅ぎタバコ窩を通過し,上腕前外側を上行する橈側皮静脈と,内側から前腕背内側を上行する尺側皮静脈が存在する.末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheter)を挿入する際は,腋窩の前壁,鎖骨胸骨三角を通過し腋窩静脈に注ぐ橈側皮静脈よりも,直接腋窩静脈に移行する尺側皮静脈のほうがアプローチしやすい.

 下肢は,足背静脈弓内側部から内果前面を通過,下腿・大腿の内側を上行する大伏在静脈と,外側から起こり外果後方から下腿後面を上行,膝窩静脈へと注ぐ小伏在静脈がある.前者のほうがPICCを留置しやすい.

2.中心静脈(深静脈)の解剖

 右内頸静脈は,胸鎖乳突筋の胸骨頭,鎖骨頭と鎖骨により形成される頸三角内で穿刺が可能で,気管と平行に胸鎖関節の高さで垂直に右鎖骨下静脈に注ぎ,腕頭静脈を形成しつつ真っすぐ上大静脈へと下行する.内頸静脈内側後方には椎骨動脈などの動脈が多数走行し,誤穿刺の可能性がある.

 鼠径三角で穿刺可能な大腿静脈は,上前腸骨棘と恥骨結節を結ぶ中間点で鼠径靭帯下方を通過する大腿動脈のすぐ内側に,膝窩静脈から移行し上行する.また鼠径靭帯内側下方にある伏在裂孔を通過した大伏在静脈が,同静脈に合流する.

3.穿刺法

a.末梢静脈カテーテル 猶予があれば,貼付を含む局所麻酔や家族を含めた患児への必要性の理解を求めることは一連の処置に有益となる.また皮静脈を浮き上がらせるためには,ターニケット,ゴム紐による駆血のほかにタッピングによる血管拡張,末梢側(拳)のミルキング,アルコール綿による圧迫・開放,透過光や近赤外線を用いた可視化装置の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?