診療支援
治療

腰椎穿刺
lumber puncture
島袋林秀
(聖路加国際病院小児総合医療センター小児科)

 髄液穿刺は,小児診療において習得すべき手技の1つである.合併症に留意しながら,最小限の苦痛の範囲で安全に行う.

A.適応

 a)中枢神経系感染(髄膜炎,脳炎)

 b)くも膜下出血

 c)中枢神経系の腫瘍(悪性腫瘍の髄腔内転移も含め)

 d)脱髄変性疾患〔Guillain-Barré(ギラン・バレー)症候群など〕

 e)髄腔内への各種薬剤投与

B.禁忌

 a)頭蓋内圧亢進状態(脳浮腫,脳出血,脳腫瘍などにより進行性脳ヘルニアの可能性がある状態)

 b)不安定な呼吸・循環動態

 c)穿刺部の感染

 d)出血傾向・凝固異常(DICも含む)

C.手技

 親と児への十分な説明とともに児の全身評価,モニター装着を行う.

a.体位 基本的に側臥位姿勢.児の肩や腰はベッドに対して垂直にし,脊椎に捻れがないように直線にする.児の両膝部を胸部に近づけ抱え込む姿勢で,穿刺部の棘突起間を広くする.頸部の過屈曲により気道閉塞を起こすこともあるため,全身観察やモニターにも配慮する.頭部前屈ではなく,頸部から腰椎までの部分を腹側に屈曲させるように心がける.

b.穿刺部の特定 Jacoby(ヤコビ)線(両側の上前腸骨棘を結ぶ線)が第4腰椎になるため,これを指標にして第3第4腰椎間(L3/4)あるいは第4第5腰椎間(L4/5)に穿刺する.不成功の際には上部腰椎間を穿刺することがあるが,新生児では脊髄下端が第3腰椎に位置することから,L3/4より上位の穿刺は避ける.

c.消毒・麻酔 消毒は穿刺部を中心に同心円状に行う.ドレープをかけるとともに穿刺部を再度確認する.ドレープは児の全身観察を妨げることもある.鎮静,鎮痛さらには手技の成功率の観点から,低年齢であっても局所麻酔が勧められる.1%リドカイン注射のほか,時間的猶予がある場合には表面麻酔テープやクリームも考慮する.さらに体動が激しいときは,鎮静薬の静注も考慮する.

d.穿刺 針先を児のや

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