A.適応
気胸,血胸,血気胸,胸水,膿胸,乳び胸による呼吸・循環障害が胸腔穿刺,胸腔ドレナージの適応である.一時的に穿刺して,排気,排液をするのが胸腔穿刺,持続的な排気,排液を行うのが胸腔ドレナージである.低出生体重児,新生児から学童まで必要であれば行う手技である.自然気胸,外傷による血気胸,インフルエンザ感染による気胸,心不全による胸水,術後の膿胸,乳び胸などが主な原因疾患である.
B.準備
a)胸部単純X線写真,超音波検査機器
b)心電図,O2サチュレーションモニター
c)酸素マスク,AmbuバッグまたはJackson-Reesバッグ
d)穿刺針:サーフロー留置針18G(胸腔穿刺),延長チューブ,三方活栓,20mL注射器,検体提出用滅菌管
e)留置カテーテル:アスピレーションキット,トロッカーカテーテル(胸腔ドレナージ)
f)チェスト・ドレーン・バック,コネクター
g)マキシマルバリアプリコーション:キャップ,マスク,滅菌ガウン,滅菌手袋,ドレープ
h)消毒:消毒薬
i)局所麻酔:局所麻酔薬(0.5%または1%キシロカイン),23G針,10mL注射器
j)鎮静:鎮静薬
C.手技
1.部位
胸部単純X線写真,超音波検査,必要であればCTの所見から,気胸,血胸の有無,程度,穿刺時に肺から最も遠い位置を決定し,マーキングをする.
胸腔穿刺のときは胸壁に垂直の方向,胸腔ドレナージのときは頭側方向に斜めの方向がよい.肋間動静脈や肋間神経を損傷しないように肋骨の下端を避ける.
気胸だけの場合には穿刺部位を仰臥位鎖骨中線の第2,3肋間,胸水や血胸がある場合には前腋窩線第4~6肋間を中心に決定する.
2.体位
仰臥位で穿刺部が背側に近い場合には,タオルやシーツなどを背部に入れて挙上する.患側の上肢を開く.
穿刺部を中心に大きく消毒して,ドレープをかける.
超音波検査のプローブにゼリーを塗って,