診療支援
治療

骨髄穿刺
bone marrow aspiration
加藤 格
(京都大学発達小児科学)

A.適応

 骨髄検査は,造血器腫瘍や貧血をはじめとする血液疾患,先天性代謝異常や癌の骨髄転移に至るまで各種疾患の診断をするうえできわめて重要な検査である.

B.検査部位

 幼小児では主に後腸骨棘に穿刺する.新生児では脛骨を選択することもある.胸骨は選択しない.

C.手技

 a)消毒をする前に,まず骨の立体構造をイメージしながら指先で挿入部位を入念に触知し,目標とする穿刺部位を決定する.骨髄針を滑らせず侵入させるために,なるべく皮下脂肪が少なく平坦な骨表面を選択する.経験豊かな上級医とともに油性マジックなどで穿刺部位周囲をマーキングしておくと安心である.

 b)穿刺予定部位の消毒を行ったあと,まず皮下に局所麻酔を十分に浸潤させる.次に骨膜面に麻酔液を撒布させるイメージで局所麻酔を注入する.この際に麻酔針で目標とする骨表面までの深さを体感しておくとよい.骨髄針は皮膚を貫くには適していないため,骨髄針を刺す部位の皮膚面に注射針などで数mm程度の切開を作っておくと針挿入部を挫滅させずにすむ.

 c)切開部から挿入させた骨髄針を母指球と示指でしっかりと固定し針先を骨面まで進め,骨面に垂直に立てて力が逃げないように針に力を伝えつつ,針を左右交互に半回転させながら骨髄内へ侵入させる.骨質を抜けたときに抵抗感が減弱するが,このあとさらに2~3mm推し進める.骨髄内に入り,骨髄針がしっかり固定され手を離しても針が立っていることを確認し,その部位で骨髄液の吸引を行う.

 d)塗抹標本用のサンプルは末梢血が混入するのを防ぐため,必ず最初の吸引で0.2~0.3mL程度採取するようにする.このときヘパリン加シリンジを使用すると染色後に色調が赤くなるので,何もコーティングしていないシリンジを用いる.骨髄液を素早く吸引し(吸引時が一番痛い),時計皿に骨髄液を抽出する.複数人で処置が可能な場合は,素早くカバーガラスなどを

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