診療支援
治療

浣腸,摘便
enema,disimpaction
佐藤厚夫
(たかさか小児科・院長(神奈川))

Ⅰ.浣腸

1.準備するもの

 a)個人感染防護具.

 b)50%グリセリン浣腸液.

 c)潤滑剤(オリーブ油,ワセリン,リドカインゼリー):リドカインゼリーはショックを起こす可能性があり.安易には使用しない.

 d)必要に応じて,処置用シーツ,おむつ,便器,ポータブルトイレ,陰部洗浄物品など.

2.事前確認事項

 a)バイタルサイン:循環動態が一過性に不安定になることがあるため.

 b)禁忌にあてはまらないこと:腸管穿孔や腸管内出血のおそれがある場合,急性腹症が疑われる場合,下部消化管術後の患者,全身状態が著しく不良の場合.

3.手技

 a)浣腸液を温湯にひたし,人肌程度に温める.

 b)患児を左側臥位,難しい場合は仰臥位にする.

 c)浣腸チューブに十分な潤滑剤をつけ,ゆっくりと肛門に挿入する.挿入長は,乳児で3~4cm,小児で3~6cmを目安とする.

 d)浣腸液をゆっくりと注入する.注入量は1~2mL/kgを目安とする.

 e)チューブを抜去する.

 f)年齢や患児の状態に応じた形で排便させる.

 g)浣腸実施の目的に応じて,反応便を確認する.

Ⅱ.摘便

1.準備するもの

 浣腸と同様(50%グリセリン浣腸液を除く).

2.事前確認事項

 a)バイタルサイン:循環動態が一過性に不安定になることがあるため.

 b)肛門や直腸に病変がないこと.

 c)出血傾向がないこと.

3.手技

 a)患児を左側臥位にする.

 b)ディスポーザブル手袋をはめた右手第2指に十分な潤滑剤をつけ,患児の呼気に合わせながらゆっくりと肛門に挿入する.指腹を直腸背側壁に沿わせて時計回りに回転させながら入れるとよい.挿入長は体格に合わせて,最大でも4cmまでとする.

 c)便塊を指腹にのせ少しずつ掻き出す.このとき左手で下腹部を時計回りにマッサージしながら行うと,便塊が直腸内を下りやすくなる.

 d)摘便実施の目的に応じて摘出便を確認する.

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?