Ⅰ.洗腸
A.適応
対象となる疾患はHirschsprung(ヒルシュスプルング)病,直腸肛門奇形,二分脊椎などの神経性直腸肛門障害疾患である.また慢性便秘,遺糞症や術前の腸内容除去の目的で行う.
B.手技
乳幼児は仰臥位,年長児は側臥位で行うことが多い.抵抗がないことを確認しながらカテーテルを肛門に挿入する.洗浄液は生理食塩液(年長児では水道水でもよい)を体温程度に温めて使用する.
乳幼児ではシリンジを用いて行うことが多いが,圧がかかりすぎないように注意が必要である.可能であればイルリガートルを用いて100cmH2Oを超えない落差注入を行う.
洗浄液は自然排液もしくはシリンジで吸引して排出させ,洗浄液がきれいになるまで繰り返し行う.排液が不十分な場合は先端を数cm程度ずつずらしながら排液させる.
C.注意点
重大な合併症として腸管穿孔がある.抵抗がある際には注入をしてはならない.
Ⅱ.人工肛門,胃瘻の管理
A.人工肛門の管理
粘膜と皮膚の境界より数mmあけて皮膚保護剤を全周性に塗布し,ストーマ袋を装着する.近年,ストーマ用品は用途別に多種多様なものがあり専門的な知識と経験が必要となる.WOC(wound,ostomy,continence)ナースとよばれる皮膚・排泄ケア認定看護師の協力も得て行うことが望ましい.
合併症としてはストーマ周囲の皮膚炎,陥没,壊死,狭窄,腸粘膜の脱出,傍ストーマヘルニア,瘻孔形成などがあげられる.
腸粘膜の脱出による嵌頓を起こした際は,緊急で処置が必要になるため色調の観察は重要である.
B.胃瘻の管理
胃瘻カテーテルにはチューブ型,ボタン型の2つがあり,さらにバンパー型,バルーン型に分けられる.小児で最も使用されているものはボタン型のバルーン型である.バルーン型は交換が簡易であるが破損しやすく,1か月に1回程度の交換が必要である.バンパー型は耐久性があり6