診療支援
治療

子どもへの説明
白幡 聡
(産業医科大学・名誉教授)

A.年齢別にみた患児自身への説明の必要性

 小児疾患におけるインフォームド・コンセント(IC)の最大の特殊性は,患児の理解力がさまざまで,しかも法的同意力がないことである.一般的に,何歳ならば患児自身に症状や予後の説明をすべきだと思うか,という質問に対して,6歳の子どもならば説明すべきとの回答を,風邪(26.7%),骨折(49.5%),腎臓病(26.7%),白血病(12.3%)において小児科医が選択したという報告がある.一方,9歳の子どもならば説明すべきと答えたのは,それぞれ風邪(76.0%),骨折(87.4%),腎臓病(68.0%),白血病(35.0%)であった.

 また治療内容や検査方法に関して,6歳ならば説明すべきと回答した小児科医は,静脈穿刺(61.4%),風邪薬の服用(56.5%),向精神薬の服用(19.6%),腹痛の検査(51.7%)で,9歳ならば説明すべきとしたのは,静脈穿刺(81.2%),風邪薬の服用(81.1%),向精神薬の服用(53.4%),腹痛の検査(81.2%)であった.

 以上のように向精神薬の服用といった特殊な事例を除けば,2002年の時点でも80%以上の小児科医は9歳の患児に説明が必要と考えていた.

B.患児への病気の伝え方

 感冒のように予後がよい急性疾患であれば,保護者同席のうえ患児の理解能力に応じて説明する.疾患によっては登校停止期間とその必要性なども説明するが,一般的にこれらの疾患の説明は難しいものではない.難しいのは,慢性難治性疾患に罹患した患児への説明である.患児への説明は,あらかじめ保護者と相談したあとに保護者同席のもとで行う.

 説明の仕方は同じ年齢でも理解力(受容能力)や判断力に差があるので,1人ひとりの能力を勘案し,説明の途中でも患児の反応によっては話の内容を修正する.一般的には小学生以上であれば難しい疾患でも,これからの検査,治療,生

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