診療支援
治療

病診連携,診診連携
hospital-clinic relationship,clinic-clinic relationship
林 泉彦
(はやしクリニック・院長(東京))

 医療連携の基本は医師同士の信頼関係である.子どもをほかの医療機関へ紹介するにあたっても,地域の病院や診療所医師による診療以外のさまざまな場面での日常的な協働がなされていることで,より円滑な診療連携が構築できる.

 つまり紹介元,紹介先の医師が日々の交流を通じて顔が見える関係になっていることで,紹介され不安を抱えた患児,保護者に対して地域医療として連続性のある会話や医療対応を行うことができ,医療者間の信頼関係が受診者にとっては大きな安心につながる.

A.病診連携

 診療科にかかわらず,何より重要な病院と診療所の医師間での信頼関係を築くためには,診療以外の場での交流が不可欠である.開業医は紹介先病院の講演会・研修会などに積極的参加すべきであり,病院医師も地区医師会主催の学術講演会や懇親会に可能な限り参加して,顔の見える関係を作っておく.このことの病診連携での効果はとても大きい.

 近年,小児医療保健では母子保健,園学校保健,小児救急,児童虐待問題,子育て世代包括支援センター,抗微生物薬耐性菌問題などの多職種協働が必要となる場面がますます増えている.地域の医療機関,医師会,薬剤師会,歯科医師会,行政,保育教育機関など,さまざまな職種が協力し合う場に地域の小児科医が積極的に参加することで,病診の医師連携のみならず地域の保健医療スタッフとの関係を深めることができ,これが地域医療の充実につながる.

B.診診連携

 診療所小児科医の大切な役割は,地域小児医療の交通整理役である.小児医療・保健・行政についての幅広い知識の習得は重要だが,同時に安心して紹介できる他領域の専門家との連携構築は欠かせない.診診連携は地域内での他科開業医との連携が主である.地区医師会は地域の医療保健行政を支えるためのさまざまな活動を行っている.これらの事業や講演会や懇親会に積極的に参加することで,個人レベルではできない他科医

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